2005年9月より2007年8月まで、仙台市のフリーマガジン『いずみっぷる』に掲載

ドラマな日々 第21回

続・まだまだ、ひよっ子  





 なぜか最近、コンサートに行く機会が増えている。韓国のバラードの帝王、シン・スン・フンにはまったことは、以前書いた。その後、シンさんのコンサートに一緒に行った友人から、お奨めアーティストがいると誘われ行ったのが、ギタリスト・押尾コータロー氏のコンサート。コータロー君のことは、前々から気になっていた。テレビで演奏を見て(?)「ど、どうやったら、こんな風にギターが弾けるんじゃい!」と、ビックリし印象に残っていたからである。ううむ。なんと説明したらいいのだろう。一本のギターで、主旋律・伴奏・パーカッション全部ひとりで弾いてしまうのである。例えば、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」を、全部ひとりで、ギターだけで完璧に、何人もの人で演奏しているように、弾いてしまうのだ。しかも類まれなる美しい音色で。コンサート後、興奮冷めやらず、そのことを必死に夫に説明しようとしたら「つまり、スタンリー・ジョーダンみたいな人ってことでしょ。うちにCDもあるじゃん」と、アッサリ言われた。そんな人がいたのか。そういえば、CDも聴いたことあるような気もしたが、「とにかくすごいから、一度聴きに行こうよ」と、早速ゲットした次のライブに誘った。
それは、「甲斐よしひろ・押尾コータロー・井上堯之バンド」という我々世代には、溜飲モノのライブ。しかも、渋谷の500人弱のライブハウスでの一日限りのぜいたくなコンサートだった。オープニングは、井上堯之バンドの「太陽に吼えろ」のテーマ曲。ジュリーの「時の過ぎ行くままに」あり、「傷だらけの天使」のテーマあり、コータロー君とのセッションありで、70年代80年代に思いっきりタイムスリップ。振り返れば、あの頃のテレビドラマや映画の劇版は、井上堯之氏のものばっかりだった。わが師匠の名作ドラマ「前略おふくろ様」も音楽は、井上氏だったっけ。サブちゃん(ショーケン扮する主人公)のテーマがかかると、それだけでしみじみ心の奥がジーンとしてきたものだった。と、感慨にふけっていて、ふと思った。目の前で、当時と変わらぬ音色のギターを弾いている井上氏は、いったい何歳なのだ?!  どう少なく見積もっても、50代後半。なのに、この音色、このバンド! オヤジカッコよすぎる! と、ひとり興奮していたら、登場しました甲斐よしひろ! 甲斐さんもたぶん50代後半、なのに細身のパンツにピチT、ベストテンに出ていた頃と全然変わらぬスタイル(どうやって維持しているのだ)歌声、そしてパワー。スタンドマイクを蹴飛ばし、ジャンプまでしている。気づいたら立ち上がり「HERO」を、一緒に歌っていました私。そして先日、「Dr.コトー診療所」でご一緒した泉谷しげるさんのライブに行ってきた。どうしても行きたくて、チケットをお願いしたら、「オラあ今年35周年だからな。35曲やるぞお。長げえぞお。それでもいいって言うんだったら、インビテーションカードってのを出してやるから覚悟して来い!」と言われ、体力に自信ないから行けませんなどと言えるわけもなく、睡眠たっぷり取って出かけました、渋谷のライブハウスに。泉谷しげる59歳! 年齢などもろともせず、3時間50分、ぶっつづけで聴かせる聴かせる! (もちろん「春夏秋冬」も「黒いカバン」もやってくれました) すごいパワーである。私は、またも高校時代、深夜親に隠れて泉谷さんのオールナイトニッポンを聞いていた頃に戻った気分で、思いっきりライブを楽しませていただきました。終了後、さすがにお疲れかなと思い、楽屋を訪ねるのは控え、伝言だけ残して帰ろうとしたら、「待っていろ」とのメッセージ。その後、4時間のライブを終えた人とは思えぬ元気さで、打ち上げ。「来年は還暦だあ。60歳だから60曲やるかあ」と、叫んでおられました。"宵越しのエネルギーはもたない!"のが、江戸っ子とか。しかし、なんでみんなこんなに元気なんだ?!先月に引き続き、まだまだひよっ子と思い知らされた5月でありました。

*2007年5月号掲載*
































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