2005年9月より2007年8月まで、仙台市のフリーマガジン『いずみっぷる』に掲載

ドラマな日々 第16回

『映画の日』  





 2007年も明けて一ヵ月。昨年10月「Drコトー診療所 2006」を書き終えた時は、〝来年こそはのんびりするぞ~〟と、心に誓った私ですが、そこは生来の貧乏性。なかなかキッパリと仕事が断れず「大丈夫大丈夫。きっとスラスラ書けますって」という悪魔の囁きに惑わされ、信じられない勢いで仕事をしております。6月辺りには、多分単発ドラマがオンエアされることでしょう。(ちゃんと書き上げていればの話ですが)
 年末は、資料やら何やらで大変なことになっていた仕事部屋の大掃除。毎年大掃除は家のオフィシャルな部分(=リビングだとか台所だとか風呂場)で終わってしまい、仕事部屋はここ3年位後回しになっていたので、今年こそはと片付け始めたのがウンのつき。忘年会のあと深夜帰宅してから、徹夜で夜明けまで3日間。大晦日の夕方までヘトヘトになって片付けたはずのに。なのに一ヵ月後の今、あまり代わり映えのしない雑然とした机の前に座っているのは、なぜなのだろう。お掃除の神様に聞きたいくらいである。なぜ? なぜなのですかぁぁぁ~~~神様!明けて、ポッカリ予定の空いてしまった元旦。正月から掃除の続きをする気にもなれず、夫と映画を見に銀座へ出掛けた。窓口で「"硫黄島からの手紙"2枚ください」と言うと「2000円です」と、お姉さん。「あのお。2枚ですけど」「ハイ、2000円です」。現在映画館は、夫婦どちらかが50才以上だと、一人1000円で見られるという割引があるのをご存じだろうか。まさか、掃除のしすぎで疲れ果てた顔をしていたので50才と間違えられたんじゃ? と、今年年女の私(36ではありません)は、元旦から大変ビミョーな気持ちになる。そんな不安は人に押しつけるべしと「ねえ。50才に見られたんじゃないの」と、夫(40代です)に罪を擦り付けようとしたら「オレもドキッとしたけど、次の人も2000円て言われてたぞ。若いカップルだったけど」と夫。「てことはお正月のサービス? まあどっちにしろ1000円で見られてラッキーかもね」などと言っていて気づいた。毎月1日は映画の日。元旦1月1日は映画の日だったのである。少し前まで映画の日は、年に2、3回だった。それが毎月になり、水曜日にはレディースデーができ、さらに50才夫婦割引、シルバー割引ができて、映画も見やすくなった。それはとってもいいことではないだろうか。邦画も元気がいいし。何より老若男女、気軽に映画館に足を運んでもらえれば、私達の仕事も潤うってものである。そういえば、去年、脚本を手がけた映画「涙そうそう」の公開前。果たしてお客さんが入ってくれるか皆ドキドキしてた頃。森山良子さんのコンサートならば「涙そうそう」という曲にも思い入れがあるだろうし、きっと売れるだろうと、スタッフがコンサート会場のロビーで前売券の販売をした。ところが、3000人の会場で売れたのが、わずか8枚。この数字にはプロデューサーも青くなった。森山さんのファンが来てくれないんじゃ、映画の興行成績は悲惨なことになる。それにしてもおかしい。なぜたった8枚? なぜだ。と、散々考え抜いて、ハタと思い当たった。森山ファンの方々のほとんどが、夫婦割引・シルバー・レディースデーに当てはまることに。1000円で見られるのに映画の前売券1300円を買うはずがないと気付き、ホッと胸を撫で下ろしたらしい。幸いにも予想以上に皆さんに見ていただけた「涙そうそう」。春には台湾、韓国での公開が決まった。台湾や韓国には、こういうサービスはあるのだろうか。ちょっと映画館を覗いてみたい気もするのですが……。


*2006年12月号掲載*
























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