2005年9月より2007年8月まで、仙台市のフリーマガジン『いずみっぷる』に掲載

ドラマな日々 第10回

登場人物の名前  





 一作の連ドラシリーズを書くのに、いったい何人位の人物が登場するのだろう。改めて数えたことはないが、普通レギュラーは15人程度。ゲスト的な出演者を含めて、20人から、30人といったところか。主要登場人物の名前をつけるのは、案外苦労する。私は、自分が平凡な名前のせいか、特殊な名前をつけるのが、あまり好きではないので、結局はありふれた名前をつけてしまうことが多い。とはいえ、字は体を表すではないが、語感や字のイメージもあるので、その人物のキャラクターに合わせて、色々と頭を悩ませる。特に語感。主役ともなれば、何十回、時には何百回と呼ばれることになる訳だし、書き手としては、執筆中何ヵ月もその名前と付き合うことになるのだから、極めて重要な作業である。
 今までにつけた名前で結構気に入っているのが、「お見合い結婚」というドラマ(主演松たか子、ユースケ・サンタマリア)の「節子」と「光太郎」。これは、お見合いから始まる二人の男女のラブコメディで、「お見合い」といういわば古めかしい因習を、物語の冒頭で周囲から押しつけられることになる。「お見合い」なんだし、何となく古くさい名前で、それでいて品があり、二人並んだときにピッタリ来る名前。で、浮かんだのが、小津安二郎監督作品の原節子。原節子の「節子」に、光太郎は、「智恵子抄」の純愛感ただよう高村光太郎の「光太郎」はどうだろうか・・・・・・。ということに相成った。「節子さん!」「光太郎さん!」と大真面目にコメディで呼ばせたかったのである。
 このドラマが放映されたのは、2000年1月~3月。執筆は1999年夏にとりかかった。話題は変わるが、今はサッカーに押されて“風前のともしび”状態の、ラグビーにもワールドカップがあるのをご存じだろうか。99年は、ラグビーワールドカップのイギリス大会、平尾ジャパンの年。私は、高校時代からの(年数だけは長い)ラグビーファンで、この時は燃えて、遠く北の果て、英国ウェールズの田舎町まで応援に行った。執筆中、ジャパンの勝利を祈願(!?)して、「お見合い結婚」の主要登場人物にも、当時のジャパンの選手の名前をつけた。そしてユースケさんの恋敵には、こっそりサッカー選手の名前を。すると、その月の「ラグビーマガジン」のワールドカップ特集号の読者投稿欄に、おかしな記事が載ってると、知人が教えてくれた。それは、今見ているドラマ「お見合い結婚」の作者は、絶対にサッカー嫌いのラグビーファンに違いない、なぜなら主要登場人物の名前がラグビー選手で、敵役がサッカー選手の名前だからというものだった。ま、私は決してサッカー嫌いではないのだが、この記事にはちょっと笑ってしまった。そして、こういうちょっとしたいたずらを見逃さずに、気にしてくれるラグビー&ドラマファンの方がいてくださることが、なんだか嬉しかった。この場を借りて感謝します・・・・・・。って、何年たってるんでしょう!? いたずらといえば、私はドラマによく甥姪の名前も拝借する。いつだったか、犬の名前に姪の名前を使ったら、即座に不満のメールが来た。「あのお。なんか昨日見たドラマに自分の名前がでてたような気がするんですけども。気のせい?」と。


ってことは観てるんだな。としめしめと思った次第である。ちなみに、彼女の名を石田ゆり子さんの役名に使った時は、なんだか恥ずかしそうにしていたっけ。

*2006年6月号掲載*



















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