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2005年9月より2007年8月まで、仙台市のフリーマガジン『いずみっぷる』に掲載

ドラマな日々 第3回

土足厳禁!?



 先月の原稿を書いてから約一ヶ月。
 私はまだ、ホテルにおります。こんな長いカンヅメも久しぶり。すっかり赤坂の住人になってしまった私です。
 日曜劇場「恋の時間」はご覧いただいてますでしょうか? これは、黒木瞳さん扮する独身バリキャリの姉(41)と、大塚寧々さんの主婦の妹(35)二人の物語。このドラマに取りかかった時、とにかくこの対照的な二人の生活感を出したいなと思いました。
 姉は、白金あたりの瀟洒なマンションに住み、妹は、郊外の住宅地に小さな建て売り住宅を購入して住んでいる。朝の時間の使い方も、キャリアと主婦では、違うはず。主婦は、6時に起き夫と子供たちに食事を作り、後片付けと洗濯くらいはすませ、メイクもそこそこに自転車でパートに出かけ、、一方、キャリアの姉は、ガーッとシャワーを浴び、ビシッとメイクし、カッコイイ服を着て飛び出して行くに違いないなどと、考えを巡らせていたのです。
 ところで、自分の作品も含め、オンエアされるドラマを観ていて、常々違和感を感じていたことは、登場人物の住む家が、一様にキレイだということ。みんな、まるでモデルルームのように、きちんと片付いた部屋に住んでいる。これはないよな~と、かねがね思っており、今回、姉の部屋はとにかく乱雑にして欲しいと、美術さんにお願いしたのです。それが、多忙なバリキャリの姉のキャラクターにもつながるのではないか、と思ったからです。
 慌てものの姉は、朝、急いで家を出る時、必ず忘れ物に気づきます。靴を履いてから、シマッタ~と思うのです。 私も実は年中これをやっていて、一応面倒でも、靴は脱いで、忘れ物を取りに行っていたのですが、このドラマの黒木さんは、出勤前に物凄く焦っていて、「えーい。ここはアメリカ!」と、土足でズカズカと忘れ物を取りに入るというシーンを書いたのです。
 これには思わぬ反響があって、ビックリ。私の周りのあの人もこの人も……。まさか、と思うような、いつも落ち着いて、楚々としているあの人も! 几帳面そうなあの人も!口を揃えて云うのです。「どうして、私の朝の様子を覗いているみたいなこと書くの?」と。どうやら、みなさん靴を履いたまま、土足で部屋に戻り、忘れ物をさがしているらしい!特に会社員をしている人たちは、この電車に乗り遅れたら遅刻と、せっぱつまっているので、土足くらいなんのそのだ、と云うのです。そして「お姉さんの部屋の汚れ具合、親近感わくわ~」と、こちらも好評。意外なところで、周囲の人々の隠された一面を知ったのでした。
 さて、この姉の部屋。今後急速にキレイになっていきます。それはなぜなのかは、ドラマを観てのお楽しみ。    


                                *2005年11月号掲載*









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